網膜剥離(もうまくはくり)
概要
物理的ショックや加齢にともなう硝子体の縮小によって、網膜の一部に裂傷が生じ、網膜の色素上皮細胞と視細胞の間に水が入り込むことによって、網膜が剥離する病気です。
網膜の役割
網膜は、眼の奥にあるとても薄い膜です。ものを見る重要な部分で、10層にも分かれています。網膜に映った映像は最も外側にある視細胞で認識し、神経線維に伝わり、神経線維の集まった視神経を通って大脳に送られます。
また、その中心部にある黄斑部は、視細胞が集中しており最も重要な部分です。
硝子体
硝子体は目の形を保つ役割をもった細かい線維でできたゲル状の透明な物質で、眼球の中に満たされています。
網膜剥離の症状
- 飛蚊症
- 時々、実際には存在しない黒い点やゴミのようなものがみえる
- 光視症
- 視野欠損
- 視力低下
加齢による硝子体の剥離が原因の場合
硝子体は、水分を含んだ繊維で出来ているため、加齢とともに線維が少しずつこわれて水だけの部分(液化腔)が増えてきます。 |
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そして、水だけの部分が広がると、硝子体が網膜から剥がれる現象が起こり、これを後部硝子体剥離と呼びます。
このときに、硝子体の繊維がいびつに重なって網膜に影をうつすことがあり、これが飛蚊症といわれる症状です。
この段階までは、50歳を超えると正常でもおこりうる年齢的な変化です。 |
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硝子体剥離がおこるときに、網膜にうすい部分や、硝子体が異常に強く癒着しているような部分があると、そこで網膜を引っ張って網膜裂孔を作り、液化した硝子体が裂孔を通って網膜下に流入して網膜剥離がおこります。 |
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網膜剥離の治療法
主に、網膜の剥離箇所(網膜裂孔)を、レーザーで凝固させる光凝固手術をおこないますが、進行度合いによっては、必要に応じて剥離した網膜を元の位置に戻す、網膜復位術や、出血によって濁った硝子体を取り除く硝子体除去手術を行います。
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